傷病手当金をもらうための条件・もらえる期間、退職後も継続して受給する為のポイントを社会保険労務士がわかりやすく解説しました。

在職中に必ず受給?

退職日までに必ず受給していなければならないか?

在職中に傷病手当金を受給していない場合、退職後の傷病手当金は?

  • A.
     在職中に傷病手当金をもらっていなくても、退職後の傷病手当金は受給可能です。御安心ください。傷病手当金の申請時効は、その日毎に2年間です。たとえば、令和5年9月10日に申請できるのは、「令和3年9月21日から令和5年9月10日まで」です。
     要するに、退職後の傷病手当金を受給できるような形で退職すれば良いのです。そして、退職後に手続きを開始して、傷病手当金をもらえば良いのです。 というか、在職最後の期間は退職後でなければ、申請手続きができません。なぜなら、医師は過去の期間しか「労務不能」の証明を記入してくれない(将来の期間については、「労務不能」の証明を記入してくれません)からです。

具体例を記します。
 退職日:令和5年8月31日
 健康保険一般被保険者期間:令和4年7月1日から令和5年8月31日まで
 療養のために休んだ期間:令和5年8月1日から令和5年8月31日まで=「令和5年8月1日から令和5年8月31日までは、有給休暇+公休日」により、給与は全額支払われた。
 給与の締日:毎月月末
病院に通院した日:令和5年8月1日(初診日)、令和5年8月14日、令和5年8月28日、令和5年9月10日、令和5年9月24日、令和5年10月8日、令和5年10月22日

令和5年9月の通院日(例えば、令和5年9月10日)に病院に行って、医師により傷病手当金支給申請書(傷病手当金請求書)に記入してもらいます。=「令和5年8月1日から令和5年8月31日までは”労務不能だったこと”の証明」
   ↓
被保険者記入欄を記入します。
   ↓
会社へ被保険者記入欄と医師記入欄を郵送します。
   ↓
会社が「事業主記入欄」に記入し、保険者(全国健康保険協会・健康保険組合等)へ傷病手当金支給申請書(傷病手当金請求書)一式、出勤簿コピー、賃金台帳コピーを郵送します(又は直接行って提出します)。全国健康保険協会の場合は、出勤簿コピー・賃金台帳コピーの提出は不要です。
※「令和5年8月1日から令和5年8月31日までの31日間」については、「傷病手当金の額<有給休暇の額」なので、傷病手当金は支給停止(不支給)となります。しかし、「在職最後期間」を申請したことにより、、傷病手当金の受給権(もらう権利)を獲得できます。
 そして、令和5年9月1日以降の期間については、傷病手当金が受給可能となります。
 別の表現をすると、「令和5年8月1日から令和5年8月31日までは、「傷病手当金の額<有給休暇の額」により傷病手当金がもらえないとわかっていても、退職後に傷病手当金を申請しなければなりません。令和5年9月1日以降の退職後の傷病手当金を受給するために、最低限「令和5年8月28日から令和5年8月31日まで」の在職ラスト4日間については退職後に申請しなければなりません。

 令和5年9月1日以降の期間については、傷病手当金支給申請書(傷病手当金請求書)の被保険者記入欄を記入し、医師記入欄については医師に記入してもらい、事業主記入欄については白紙のまま、在職中に加入していた保険者(全国健康保険協会・健康保険組合等)へ傷病手当金支給申請書(傷病手当金請求書)のみを郵送します(又は直接行って提出します)。

★上記の方法の他に在職最後の期間と退職直後の期間を同時申請する方法があります。詳しくはこちらをクリックしてください。


在職最後の期間は有給休暇でしたが、この場合退職後の傷病手当金は?

  • A.条件をクリアーすれば、退職後も貰えます。ご安心ください。

 在職最後の期間がすべて「有給休暇+公休日」だった場合でも、退職後の傷病手当金の受給要件(一般被保険者資格喪失後の傷病手当金の受給要件=健康保険法104条)をクリアーしていれば、退職後の傷病手当金は受給可能です。
 有給休暇期間分については「有給休暇の金額>傷病手当金の額」となるため(一般的には)、有給休暇の期間について傷病手当金を申請しても、傷病手当金はもらえません。しかし、在職最後の期間(最低限「退職日を含んだ在職最後の4日間」)を申請しないと、退職後の傷病手当金はもらえません。
 退職後に在職最後期間分を傷病手当金申請することにより、在職期間中に(退職日までに)傷病手当金の受給権(もらう権利)を獲得できるのです。有給休暇分を申請するのは、傷病手当金の受給権をゲットするためです。
 よって、在職最後の期間が有給休暇の場合でも、在職最後の期間については退職後に傷病手当金を申請します。有給休暇のまま退職した場合、在職最後期間分の申請は、野球にたとえると、送りバント(犠牲バント)のようなものです。次のステップに進むための手段(手続き)です。

 

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