年金との調整
公的年金との調整
老齢給付との調整
- 退職後、継続給付として傷病手当金をもらっている人で、老齢基礎年金 や老齢厚生年金等の老齢年金給付をもらっている人。
- 上記の人は、傷病手当金の支給は打ち切られ、老齢年金給付のみをもらいます。但し、老齢年金給付の額を360で割った額(老齢年金給付日額)が、傷病手当金日額よりも少ないときは、その差額を傷病手当金日額としてもらえます。
- 「傷病手当金1日分の額」>「老齢厚生(基礎)年金÷360」のケース
- 「傷病手当金1日分の額」<「老齢厚生(基礎)年金÷360」のケース
- 上記の人は、傷病手当金の支給は打ち切られ、老齢年金給付のみをもらいます。但し、老齢年金給付の額を360で割った額(老齢年金給付日額)が、傷病手当金日額よりも少ないときは、その差額を傷病手当金日額としてもらえます。
- 老齢年金給付との調整は、退職後も継続して傷病手当金を受給し続けている人だけが対象です。
- 例えば、62歳の現役(健康保険も厚生年金も加入)の人が、特別支給の老齢厚生年金をもらいながら働いていたが、内臓疾患のために入院したようなケースでは、傷病手当金は減額されずに、そのままもらえます。
障害厚生年金との調整
同一の傷病による障害厚生年金をもらう場合
- 同一の傷病による障害厚生年金をもらう場合には、傷病手当金は支給されません。
- たとえ、1年6ヶ月が経過していなくても、傷病手当金は打ち切られます。
- しかし、「障害厚生年金1日分の額<傷病手当金1日分の額」の場合には、その差額が傷病手当金として支給されます。
- 「障害厚生年金÷360<傷病手当金1日分の額」
- 下に例を図解します。
同一の傷病による障害厚生年金と障害基礎年金を両方もらう場合
- 同一の傷病による障害厚生年金・障害基礎年金をもらう場合には、傷病手当金は支給されません。
- たとえ、1年6ヶ月が経過していなくても、傷病手当金は打ち切られます。
- しかし、「障害厚生年金1日分の額+障害基礎年金1日分の額<傷病手当金1日分の額」の場合には、その差額が傷病手当金として支給されます。
- 「(障害基礎年金+障害厚生年金)÷360<傷病手当金1日分の額」
- 下に図解します。
同一の傷病に起因する障害手当金をもらうことになった場合
- 障害手当金は厚生年金から支給されるものです。
- 障害手当金は一時金ですので、1回もらったらそれでおしまいのお金です。障害手当金の額に達するまでは傷病手当金はストップされてしまいます。
- その人が仮にもらうであろうと仮定した傷病手当金が、障害手当金の額に達するまで、傷病手当金はストップされます。要するに、障害手当金を優先して支払います。両方同時に(一緒に)はもらえません。
- 障害手当金の額(令和5年度)=1,192,600円
- 「障害厚生年金3級の額×2」に相当する額
- 「障害厚生年金3級の最低保障額」=596,300円
- 最低保障額を使うことになった場合の例:
- 傷病手当金1日分の額=5,780円(標準報酬日額が26万円のケース)の場合、
1,192,600円÷5,780円=「206日分+1,920円」
傷病手当金は「206日間+207日分目については1,920円」までストップします。
- 障害手当金の額(令和5年度)=1,192,600円
- 先に傷病手当金をもらい、後になって障害手当金を受給する場合
- この場合は、障害手当金の額の分だけ、傷病手当金を支払った保険者(健康保険組合、全国健康保険協会等)へ、お金を返金しなければなりません。
同一の傷病の障害基礎年金だけを受給の場合は、傷病手当金もOK
- 障害基礎年金だけをもらっている場合には、傷病手当金も同時に(一緒に)、減額されず、もらえます。
- 例:障害基礎年金だけをもらっている人が会社に就職し、その後障害基礎年金受給の原因となった傷病により、会社を連続4日以上休むことになった場合、障害基礎年金は、そっくりそのまま減額されずにもらえますし、停止もされません。
- 傷病手当金と障害基礎年金の原因が、同じ傷病でない場合には、もちろん両方もらえます。
同一の傷病によらない障害厚生年金受給者は傷病手当金ももらえます。
- 同一の傷病に起因しない障害厚生年金をもらっている人は、傷病手当金も減額されずに、そのままもらえます。
- 例:「心臓病による障害厚生年金をもらっている人が、今度は、家の階段で転んで脚を骨折してしまった」ケース。⇒障害厚生年金も傷病手当金ももらえます。
同一の傷病によらない障害手当金と傷病手当金は両方もらえます。
- 違う傷病が原因となっている障害手当金と傷病手当金は両方もらえます。
- 両眼の視力低下による障害手当金と指の骨折による傷病手当金は、両方もらえます。