傷病手当金をもらうための条件・もらえる期間、退職後も継続して受給する為のポイントを社会保険労務士がわかりやすく解説しました。

在職最後期間に給与が支払われたら?

在職最後期間に給与が支払われたら?

傷病手当金の受給権(もらう権利)が停止するだけです。権利は消滅しません。

「在職最後期間」に給与が満額支払われても、「労務不能状態」が継続すれば「退職後の傷病手当金」の権利は継続します。

  • 「在職最後期間」について給与が満額支払われた場合、「在職最後期間」については、傷病手当金は「支給停止状態(不支給)」となりますが、退職日の翌日以降の期間(退職後期間)については、傷病手当金をもらうことが出来ます。
  • 「在職最後の給与計算期間」を全て有給休暇消化した為に「在職最後の給与計算期間期間」について給与が全額支払われた場合は、「在職最後期間(有給休暇期間)」については傷病手当金は不支給(支給停止)となります(一般的に)。しかし、「在職最後期間分」を退職後に傷病手当金申請することにより、「退職後の傷病手当金」の受給権(もらう権利)を獲得出来ます。
    • 「有給休暇期間消化期間」について傷病手当金を申請するのは合法です(違法ではないです)。
    • 「有給休暇の額>傷病手当金の額」の場合は、傷病手当金が不支給(支給停止)となります。
    • 「有給休暇の額<傷病手当金の額」の場合は、「傷病手当金-有給休暇の額」が、傷病手当金として支払われます。
  • 別の表現をすると、「在職最後期間分」について給与が支払われても支払われなくても「在職最後期間分」を退職後に傷病手当金申請しないと、「退職後の傷病手当金」の受給権(もらう権利)を獲得出来ません。

傷病手当金は下記の条件をクリアーした場合に、もらえます。

❶仕事以外のことが原因で、仕事を連続3日休み(待期期間)、更にその傷病(仕事以外のことが原因の傷病)により1日以上仕事を休んだ場合(最低4日以上仕事を休まねばなりません)。
 よって、社内のパワハラ・社内のセクハラ・職場での人間関係・社内でのイジメ・過剰な時間外労働等が原因の場合は、傷病手当金(健康保険)ではなく、労災を請求するのが原則です。
❷「労務不能であること」=「労働不能であること」
❸傷病手当金を受給した期間が1つの傷病について合計して1年6か月未満であること。
⇒同一傷病について、最長で通算して(合計して)1年6か月、傷病手当金がもらえます。
❹退職日まで給与・賃金・手当等が全額に近い額支払われているために傷病手当金が不支給(支給停止)になり、「在職期間分について傷病手当金をもらっていないケース」でも、「在職最後の4日間(退職日以前4日間)」が”労務不能”であり、退職後も”労務不能状態”が続いていれば退職後も退職後の傷病手当金の受給権(もらう権利)は発生します。
「退職後の傷病手当金」をもらうポイントは、「在職最後の傷病手当金申請期間が”労務不能かどうか?」です。⇒「最低限在職最後の4日間(最低限退職日以前4日間)」が”労務不能”であるか?です。=医師により傷病手当金支給申請書(傷病手当金請求書)の「医師記入欄」に「”労務不能”の証明をしてもらえるか?」です。 

  • 「退職日まで有給休暇等により給与が全額支払われた」という事実だけで「退職後の傷病手当金」がもらえなくなるわけではないです。つまり、退職日まで給与・賃金・手当等が支払われても支払われなくても、「在職最後の傷病手当金申請期間(最低限在職最後の4日間(最低限退職日以前4日間)」が”労務不能”であり、退職後も”労務不能状態”が続いていれば、「退職後の傷病手当金」の受給権(もらう権利)は発生します。
  • 即ち、退職日まで有給休暇等により給与が全額支払われた」という事実だけにより「退職後の傷病手当金」を諦める必要は無いです。
  • 「一般被保険者資格喪失後の傷病手当金」をもらう場合も同様です。「一般被保険者資格喪失日の前日まで有給休暇等により給与が全額支払われた」という事実だけで「一般被保険者資格喪失日以降の傷病手当金」がもらえなくなるわけではないです。
     一般被保険者資格喪失日の前日まで給与・賃金・手当等が支払われても支払われなくても、「一般被保険者資格喪失日の前日までの傷病手当金申請期間(最低限一般被保険者資格喪失日の前日までの4日間」が”労務不能”であり、一般被保険者資格喪失日以降も”労務不能状態”が続いていれば、「一般被保険者資格喪失日以降の傷病手当金」の受給権(もらう権利)は発生します。

❺その他、総合的に保険者(全国健康保険協会、健康保険組合等)が判断して、傷病手当金を「支給するか?」・「不支給とするか?」を決定します。
 ●例えば、次のようなケースは、支給になるかどうか?は分かりません。
会社を休んだ期間が離れているケース

社会的治癒について

●例えば、「3年6か月前から2年前まで」、「うつ病」で傷病手当金を「1年6か月間」受給していた。しかし、今回、また「うつ病」が再発して、会社を休んでいる。この場合も、総合的に保険者(全国健康保険協会、健康保険組合等)が判断して、傷病手当金を「支給するか?」・「不支給とするか?」を決定します。
 ポイントは、前回(3年6か月前から2年前まで)傷病手当金をもらってから2年が経過しているが、「社会的治癒」が認められるか?です。「社会的治癒」が認められれば、傷病手当金はもらえる可能性は有ります。

  • 「社会的治癒」とは?
    • 「社会的治癒」とは、一旦症状が軽快した後に以前と同じ傷病が再発しても、「問題無く社会生活を送っていた期間が一定期間以上有るのであれば、以前の傷病と今回の傷病は別の傷病である」とする考え方です。
       つまり、「以前患っていた病気が軽快(又は治癒)してから相当の期間について問題無く日常生活を送っているのだから、前の病気と今回の病気は別の病気として扱いましょう」ということです。
    • しかし、「一定期間(相当期間)社会生活を問題無く送っていた期間」が、どれくらいの長さか?については法律に規定されてはいません。即ち、保険者(全国健康保険協会、健康保険組合等)の判断になります。

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