傷病手当金をもらうための条件・もらえる期間、退職後も継続して受給する為のポイントを社会保険労務士がわかりやすく解説しました。

退職後労働不能

退職後、すぐに働くことができない場合

基本手当(失業手当)はもらえません。

  • 雇用保険から支給される基本手当(失業手当)は、働ける状態でないと、もらえません。
    • 「失業とは、被保険者が離職し、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず職業に就くことができない状態」(雇用保険法4条3項)
    • 病気や怪我で働けない場合には、労働できる状態にはないと判断され、基本手当(失業手当)はもらえません。

傷病手当(雇用保険)はもらえるか?

傷病手当は「基本手当の病気・怪我ヴァージョン」です。

  • 傷病手当ももらえません。
  • 傷病手当は「基本手当受給資格者(失業手当受給資格者)」が、怪我や病気等のために連続15日以上職業に就くことができないときにもらえる手当です。
    • つまり、傷病手当をもらうには、「基本手当受給資格者(失業手当受給資格者)」である必要があります。「基本手当受給資格者(失業手当受給資格者)」になるためにはハローワークで求職の申し込みをしなければなりません。
    • 退職直後、病気・怪我等で労働不能の状態では、求職の申し込みはできませんので、傷病手当も貰えません。
      • 退職直後で病気や怪我で30日以上働けない場合には、基本手当(失業手当)をもらう期間を延長する手続きをとりましょう。

傷病手当金(健康保険)はもらえます。

基本手当・傷病手当は支給されず、傷病手当金のみもらえる

  • 退職直後、病気・怪我等で働けない状態であるならば、雇用保険からは基本手当も傷病手当も支給されず、健康保険の傷病手当金を受給します。ただし、傷病手当金の継続受給要件(健康保険法104条)をクリアーした場合ですが。
    • 傷病手当金の継続受給要件(詳しくはこちらをクリック
      • 退職日まで継続して1年以上健康保険に加入
      • 退職日の前日までに(退職日の前日を含む)連続3日間の「労務不能期間」があること。
      • 退職日は労働不能
        ※退職日までに(退職日を含む)最低限4日間の「労務不能期間」がないと退職後の傷病手当金はもらえません。
      • 退職日以前4日以上前に「傷病手当金を申請する病気についての初診日」が有ること。
      • 「退職後も労務不能状態が続いていること」

退職後、連続30日以上働けない場合には

基本手当を受給開始する時期を先延ばしする。

  • 退職後失業状態にあっても、働ける状態にない場合には「基本手当(失業手当)」はもらえません。退職直後に病気や怪我で働けない期間が長引いてしまうと、その期間分は基本手当がもらえなくなってしまうのです。
  • 雇用保険から支給される基本手当は原則、退職日の翌日から1年以内でもらい切らないと、そこで終了です。その時点で仮に基本手当(失業手当)の受給残(もらい残し)があっても、終了してしまいます。

退職後30日経過し、労働不能継続⇒基本手当を受給開始する時期を先延ばしします。

  • 退職後30日経過し、その間傷病手当金(健康保険)をもらい続けている場合、退職後30日が経過した日の翌日以降に、基本手当(失業手当)受給期間延長の手続きをします。
    • 「基本手当(失業手当)受給期間延長の手続き」とは、「基本手当(失業手当)をもらい始める時期」を先延ばしする手続きであり、「基本手当(失業手当)の給付日数が増える手続き」ではないです。
      基本手当受給期間延長の手続き
  • 上の図を例にとると、
    •  退職したのは10月31日です。退職日の翌日である11月1日から30日間連続して労働不可能な状態となるのは、11月30日です。
       そうすると、11月30日の翌日である12月1日以降であれば、「基本手当受給期間延長の手続き」をすることが可能です。しかし、「基本手当受給期間延長の手続き」があまり遅くなると、基本手当を全額もらえなくなるケースが出てきます。ご注意ください。
      • 「基本手当受給期間延長の手続き」は、郵送でしてもOKですし、また、代理人に依頼してもOKです。代理人に依頼する場合には、委任状が必要となります。

失業手当は受給開始時期を最大限3年間先延ばしすることができます。

  • 基本手当(失業手当)をもらい始める時期を最長で3年間先延ばしできます。
  • 本来の基本手当受給期間1年+延長期間(先延ばし期間)3年=4年
  • 退職後MAX.4年の間に基本手当(失業手当)をもらい切ればよいのです。
  • 延長の対象となる代表的なケースとは以下の通りです。
    • 妊娠(出産以前6週間以内でなくても、それより前の期間でもOK)
    • 出産(妊娠4ヶ月以上の、本人の出産のみ対象。家族の出産は延長の対象外)
    • 育児(3歳未満の子の育児)
    • 疾病又は負傷(雇用保険から傷病手当をもらった期間は延長の対象外)
    • 親族(6親等内の血族、配偶者及び3親等内の姻族)の看護
  • 具定的なケース:12月31日付けで退職したケース
    最長で3年間延長できます。

傷病手当金をもらい切った後で、基本手当(失業手当)をもらう。

  • 具定的なケース:12月31日付けで退職したケース
    • 在職中から傷病手当金をもらい、退職後も傷病手当金をもらい続けるケース

最長で3年間延長できます。

powered by Quick Homepage Maker 5.3
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional