傷病手当金をもらうための条件・もらえる期間、退職後も継続して受給する為のポイントを社会保険労務士がわかりやすく解説しました。

退職後に初めて傷病手当金を申請するケース

☆退職後に初めて傷病手当金を申請するケース

  • 在職中は傷病手当金の申請手続きを一切していなくても、退職後に初めて傷病手当金を申請&受給は可能です。ただし、退職の仕方を誤ると、退職後の傷病手当金は一切もらえなくなります。ご注意ください。
    • 傷病手当金の時効はその日毎に2年間ですので、在職中に申請していなくても、過去2年以内の分であれば申請は可能です。
      • 健康保険法第193条: 保険料等を徴収し、又はその還付を受ける権利及び保険給付を受ける権利は、二年を経過したときは、時効によって消滅する。
  • 在職最後の期間は、退職後に傷病手当金申請手続きを行います。
    在職最後の期間は、退職後でなければ傷病手当金の申請手続きはできません。
  • 強く注意すべきこと。
    • 退職日を含んだ在職最後の4日間(有給休暇でも公休日でも欠勤無給でもOK)は出勤しないこと(在宅ワークもしないこと)です。
      • 例:令和5年12月31日が退職日の場合
          令和5年12月28日から令和5年12月31日までの在職最後の4日間は出勤しないこと(在宅ワークもしないこと)です。在職最後の4日間が全て有給休暇でも全く問題無いです。もちろん、在職最後の4日間が欠勤でも公休日でも問題無いです。ポイントは「在職最後の4日間が労務不能であること(在宅ワークもしないこと)」です。

在職最後の4日間は、有給休暇でも問題無いです。

  • 例:令和6年1月31日が退職日の場合
      令和6年1月28日から令和6年1月31日までの4日間は会社に行かないことです(在宅ワークもしないことです)。
    在職最後の4日間が欠勤でも公休日でも有給休暇でも問題無いです。
    ポイントは「在職最後の4日間が労務不能であること」です。

在職最後の4日間が欠勤でも公休日でも問題無いです。

会社在籍期間(退職日を含んだ期間)から申請します。

以下の2通りのケースに分かれます。

在職中は会社から給与・手当等が支払われていたために傷病手当金を申請していなかったケース
傷病を患って会社を欠勤(無休)してから退職日までの期間が短いケース

退職日までの在職期間分を1回も申請していない場合には、上記の2ケースのいずれの場合にも、在職最後の期間分を「第1回目」として申請することが必要となります。在職期間分について1度も傷病手当金を申請していない人が、退職後に退職後期間分のみを申請しても傷病手当金はもらえません。
 在職最後の期間分を退職後に申請することは可能です(問題ありません)。
 在職最後の期間分については、在職中に申請する必要はありません。というか、在職最後の期間については、退職後に申請するしか方法がありません。ただし、退職してから長期間経過してしまうと、医師が「労務不能」の証明を書いてくれない可能性が有りますので、退職日から3ヶ月を経過する頃までには「第1回目」の傷病手当金申請をしておくことをおすすめします。

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  • 退職日までの期間で労務不能により、欠勤している期間(又は有給休暇期間)が含まれている場合には、会社を経由して在職中に自分の加入していた保険者(健康保険協会又は健康保険組合)に「傷病手当金支給申請書」を提出します。※郵送でもOK.
  • 段取りとしては、
  • まず、会社(又は健康保険協会・健康保険組合)から「傷病手当金支給申請書」をもらう。又はパソコンから傷病手当金支給申請書(傷病手当金請求書)をダウンロードする。
  • 病院で医師に「療養担当者が意見を記入するところ」の欄を記入してもらう。
  • 申請者本人記入欄に記入する。
  • 会社に提出(郵送)し、会社記入欄に記入してもらい、あとは会社の担当者に手続きをしてもらいます。



[heart]会社に病名を知られたくない場合の申請手続き [heart]

  • 在職中は健康保険組合に加入していた場合は、この方法は困難と思われます。
    • 健康保険組合の多くは、在職期間についての申請の場合、出勤簿のコピー(又はタイムカードのコピー)、賃金台帳のコピーの添付を要求しているからです。
    • 出勤簿・賃金台帳は、会社が保存しています。
    • 在職中は全国健康保険協会に加入していた場合は、この方法は可能です。ただし、会社がこの方法に同意した場合です。
      • まず、会社(又は健康保険協会・健康保険組合)から「傷病手当金支給申請書」をもらう。又は、パソコンからダウンロードする。
      • 「事業主記入欄」を会社に提出(郵送)し、会社記入欄に記入してもらう。そして、会社記入欄記入済のものを自宅へ郵送してもらう。
      • 病院で医師に「療養担当者が意見を記入するところ」の欄を記入してもらう。
      • 「傷病手当金支給申請書(傷病手当金請求書)」の本人記入欄に記入する。
      • 自分で、「傷病手当金支給申請書」を保険者(健康保険協会又は健康保険組合)へ提出(郵送)する。

    • 「傷病手当金支給申請書」は健康保険協会の場合、パソコンからダウンロードできますし、記入例もダウンロードできるので便利です。健康保険組合の場合も、組合によってはパソコンからダウンロードできるケースがあります。
    • 退職後の最初の傷病手当金申請で、会社に在籍している期間が含まれている場合には、①「賃金台帳(コピーで可)又は給与明細(コピーで可)」、②「出勤簿(コピーで可)又はタイムカード(コピーで可)が必要となります。
      在職中は全国健康保険協会に加入していた場合、在職期間分の申請について 「出勤簿のコピー(タイムカードのコピー)」・「賃金台帳のコピー(給与明細のコピー)」は添付不要です。
      • 退職日まですべて有給休暇のために傷病手当金を申請せずに、退職後に初めて傷病手当金を申請する場合にも、在職期間(申請期間)に係る①「賃金台帳(コピーで可)又は給与明細(コピーで可)」、②「出勤簿(コピーで可)又はタイムカード(コピーで可)」が必要となります。健康保険組合によっては、在職期間(申請期間)に係る前の1ヶ月分についての①「賃金台帳(コピーで可)又は給与明細(コピーで可)」、②「出勤簿(コピーで可)又はタイムカード(コピーで可)」も提出を義務付けているところが有ります。
      • 在職中は全国健康保険協会に加入していた場合、在職期間分の申請について 「出勤簿のコピー(タイムカードのコピー)」・「賃金台帳のコピー(給与明細のコピー)」は添付不要です。

会社在籍期間と退職後の期間の両方が含まれている場合

「傷病手当金支給申請書」を1枚ですませる方法

  • 「”在職最後期間分"と"退職直後期間分"を分けて申請して下さい」という健康保険組合もあるので、その場合は、この方法は出来ません。全国健康保険協会の場合は、この方法ができます。
  • 会社在籍期間の分についての事業主(会社)の証明が必要です。
    • 「傷病手当金支給申請書」の「事業主が証明するところ」の欄に会社担当者が記入し、会社代表者印を押します。①「賃金台帳」(コピーでOK)又は給与を証明する書面(コピーでOK)と②出勤簿(コピーでOK)又はタイムカード(コピーでOK)を添付します。
    • 在職中は全国健康保険協会に加入していた場合、在職期間分の申請について 「出勤簿のコピー(タイムカードのコピー)」・「賃金台帳のコピー(給与明細のコピー)」は添付不要です。
  • 退職後の期間分については、「事業主が証明するところ」の欄は記入不要です。
    • 出勤簿や賃金台帳も不要です。既に退職しているのですから当然ですね。
  • 例:「10月11日~11月30日」:⇒この期間分がすべて「労務不能」であり、退職日が10月31日、給与の締日が毎月末日とします。
    • 「10月11日~10月31日」:在職期間分の申請
      ※この期間がすべて欠勤無給でも、すべて有給休暇でも申請します。
      • 上記の期間(「10月11日~10月31日」)を含む給与計算期間(「10月1日~10月31日」)についての事業主の証明+賃金台帳(「10月1日~10月31日」)のコピー・出勤簿(「10月1日~10月31日」)のコピー等の書類が必要
      • 在職中は全国健康保険協会に加入していた場合、在職期間分の申請について 「出勤簿のコピー」・「賃金台帳のコピー」は添付不要です。
    • 「11月 1日~11月30日」:退職後期間分の申請
      • 事業主の証明は不要+賃金台帳・出勤簿等の書類も不要です。既に退職しているのですから当然ですね。

賃金台帳・出勤簿等につきましては、コピーでOKです。

  • 在職中は全国健康保険協会に加入していた場合、在職期間分の申請について 「出勤簿のコピー」・「賃金台帳のコピー」は添付不要です。


「傷病手当金支給申請書」を「在職期間分」と「退職後期間分」の2枚に分ける方法};



「10月11日~11月30日」:⇒この期間分がすべて「労務不能」であり、退職日が10月31日、給与の締日が毎月末日とします。

例;「10月11日~10月31日」:在職期間分で1枚 +
   「11月 1日~11月30日」:退職後期間分で1枚
   

  • 「10月11日~10月31日」:在職期間分で「傷病手当金支給申請書」⇒1枚
    ※この期間がすべて欠勤無給でも、すべて有給休暇でも以下の通りにします。
    • 上記の期間(「10月11日~10月31日」)を含む給与計算期間(「10月1日~10月31日」)についての事業主の証明+賃金台帳のコピー(「10月1日~10月31日」)・出勤簿のコピー(「10月1日~10月31日」)等の書類が必要。
    • 在職中は全国健康保険協会に加入していた場合、在職期間分の申請について 「出勤簿のコピー」・「賃金台帳のコピー」は添付不要です。
  • 「11月1日~11月30日」:退職後期間分で「傷病手当金支給申請書」⇒1枚
    • 退職後期間分については、「事業主が証明するところ」の欄は記入不要です。
      • 出勤簿や賃金台帳も不要です。既に退職しているのですから当然ですね。

賃金台帳・出勤簿等につきましては、コピーでOKです。

  • 在職中は全国健康保険協会に加入していた場合、在職期間分の申請について 「出勤簿のコピー」・「賃金台帳のコピー」は添付不要です。


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